1.意匠権か?特許権か?

意匠権特許権とは、それぞれの権利で保護される対象が異なります。意匠権は、これまでにも述べたように、「物のデザイン」を保護するものです。これに対して、特許権は「技術的思想の創作」を保護するものです。要は、「発明」を保護するものです。

例えば、「持ちやすくて疲れにいくい鉛筆」を思いついた場合です。鉛筆の一部を特殊な形状とすることで、指にフィットして滑りにくく持ちやすくなり、鉛筆の形状を工夫することで非常に書きやすくなり疲れにくくなるというものです。このような「持ちやすくて疲れにいくい鉛筆」は、その技術的な(学問的な、という意味ではありません)アイデアによって達成されるものです。このような技術的なアイデアを保護するのが特許権(実用新案権も同様)です。技術的なアイデアですので、できあがった物の形状そのものが保護されるのではありませんが、そのような技術的なアイデアが含まれていれば(技術的アイデアを発揮するための形状であれば)、それによる形態を有する物は当然に保護されます。

一方、意匠権はこのような技術的なアイデアではなく、デザインを保護するものです。そのデザインによる効果などは基本的には関係がありません。仮に、従来の鉛筆に、あえて持ちにくくなるような突起を設け、その突起が何の役に立たなくてもよいのです(もちろん需要者にとって魅力(例えば「形が変わっていて面白い」など)がなければ売れませんが)。したがって、意匠権では、「持ちやすくて疲れにいくい鉛筆」は、その外観上の1形態のみが保護されるのです。

なお、保護対象が異なるため、「持ちやすくて疲れにいくい鉛筆」を特許権と意匠権の両方で保護することも可能です。特許権か?意匠権か?と迷ったら、一度専門家に相談することをお勧めいたします。